静岡市様では、災害発生時における迅速かつ正確な情報収集・共有体制の強化を目的とし、2025年3月17日より当社が開発した『内部災害情報システム』の運用を開始しました。従来のアナログ中心の情報収集・伝達体制から脱却し、デジタル技術を活用することで、被害状況の早期把握と的確な災害対応を目指しています。
- 災害時の迅速な情報把握が課題
近年、自然災害は激甚化・頻発化しており、ひとたび大規模災害が発生すれば、被害状況は刻一刻と変化します。市民の安全確保と効果的な応急対策のためには、被害情報を迅速かつ正確に収集・集約し、限られた情報からでも被害の全体像を早期に把握することが極めて重要です。 静岡市様では、こうした課題に対応するため、2021年4月に当社が構築を支援したクラウドベースの「静岡市災害情報共有システムSUNPU」の運用を開始されました。このシステム導入は、それまで電話やFAXでの情報入手、ホワイトボードへの手書きによる情報共有など、アナログな手法に頼ることが多かった災害対応業務のデジタル化を推進し、職員間での一元的な情報共有を目指すものでした。実際に、「SUNPU」はふじのくに防災情報共有システム(FUJISAN)や静岡市防災メール(いずれも当社構築)との連携も実現し、業務効率化に貢献してきました。 しかし、災害対応を取り巻く状況は常に変化し、より高度で迅速な対応が求められています。「SUNPU」の運用を通じて得られた知見や、明らかになった更なる改善要望、将来的な拡張性や他システムとの連携強化といったニーズに応えるため、静岡市様は今回、「SUNPU」を全面的にリニューアルし、新たな「内部災害情報システム」として運用を開始する決断をされました(2025年3月17日運用開始)。リニューアルにおける重要な変更点として、システム基盤をAWS(アマゾン ウェブ サービス)へ移行しました。これにより、最新のクラウド技術を最大限に活用し、将来的な機能拡張やデータ量の増加にも柔軟に対応できる、より堅牢でスケーラブルな災害情報プラットフォームの構築を目指しています。今回のリニューアルでは、基盤移行に加え、基本的に現行システム(SUNPU)の主要機能を踏襲しつつ、実際の運用に合わせて画面構成の最適化や必要な機能の追加・改善を行いました。
- 情報のデジタル化と一元管理へ
今回のシステムリニューアルを通じて、静岡市様は災害対応能力のさらなる向上を目指しています。本システムの最大の狙いは、「情報のデジタル化」の推進と「情報の一元管理」の深化にあります。 まず、被害情報の報告・収集プロセスをより洗練されたデジタルワークフローに移行することで、職員はスマートフォンなどを活用し、現場からリアルタイムで正確な情報を以前にも増して効率的にシステムへ入力できるようになります。これにより、情報伝達の迅速化と省力化、ヒューマンエラーの抑制が一層期待されます。さらに、庁内に分散しがちだった様々な災害関連情報(被害報告、気象情報、インフラ情報、避難所情報など)を、AWS基盤上に構築されたシステムで集約し、一元的に管理します。これにより、地図情報と連携したダッシュボードなどで被害状況や対応状況をリアルタイムかつ多角的に可視化し、災害対策本部の関係者全員が常に最新かつ同一の情報を共有できる環境を強化します。これは、状況認識の統一と、データに基づいた迅速かつ的確な意思決定を強力に支援し、ひいては応急対策や市民への支援策の検討・実施へとスムーズにつなげる体制の構築を目指すものです。
▼ダッシュボード
- 運用に合わせた機能強化・改善
リニューアルされた本「内部災害情報システム」は、現行システムの優れた点を継承しつつ、静岡市様の実際の運用に合わせて、さらに使いやすさを向上させています。主要な機能として、まず「市民からの投稿/SNS情報収集機能」があります。これは、市民から寄せられる被害報告(電話、Webフォームなど)や、XなどのSNSから発信される災害関連情報を効率的に収集・整理する機能です。システム上で情報を集約し、状況把握の迅速化を支援します。 加えて、「被害報告機能」も強化されました。現場の職員はスマートフォン等から、位置情報付きの写真や動画を添えて、被害状況を簡単かつリアルタイムに報告できます。これにより、現場の生きた情報が迅速に災害対策本部等で共有され、的確な対応判断に貢献します。 今後もこれらの機能により、多様な情報をシステム上で統合的に管理・活用することで、より精度の高い状況判断と、効果的な災害対応の実現を支援していきます。