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紙情報をデータ化し入力業務負担軽減を行うためのAI-OCRとRPA導入の取組

 近年、少子高齢化問題を背景に、国内の生産年齢人口は減少の一途をたどっています。弊社の顧客である地方自治体の職員数も下図1に示すように減少を続けています。こうした背景のもと、不足する労働力をITの活用による業務改善で解決したいと弊社は考えています。SBS情報システムは、自治体職員様の負担軽減を図る仕組みとして、AI-OCRとRPAの導入に取り組んでいます。

AI-OCRとRPA導入の背景

 人口の減少、COVID-19の影響もあり、政府は行政手続きのデジタル化・オンライン化に大きく舵を切っています。スマホで簡単に行政手続ができる世の中も、すぐそこかもしれません。
 しかし、デジタルデバイドの壁は厚く、対面で相談しながら書類を作成したい市民が相当数いることも想像に難くありません。
 そう考えると、今すぐに紙による申請がすべてなくなるとは考えにくく、現在は紙がデジタルに入れ替わっていく過渡期であると考えられます。
 SBS情報システムは、この過渡期に自治体職員様の負担軽減を図るべく、AI-OCRとRPAの導入に取り組んでいます。

AI技術を組合せたAI-OCRとは

 OCRとは、Optical Character Readerの略で、画像データのテキスト部分を認識し、文字データに変換する光学文字認識機能のことです。
 人間は、紙に書かれている文字を無意識に理解できますが、コンピュータにはそれができません。そのため、紙に書かれた文字をデータとして活用するには、人間が読み取ってデータを入力する必要があります。しかし、文字入力作業は非常に効率が悪く時間がかかります。この作業を人間の代わりに行ってくれるのがOCR掲載です。
 AI-OCRとは、OCRにAI技術を加えたもので、AI技術を組合わせたことで、文字認識率が向上しました。最近のAI-OCRは、数字やカタカナ、チェックボックスの認識率が向上したため、従来のOCRで必要だった、専用用紙の設計が不要となりました。
 ただし、手書きによる漢字やひらがななどはまだまだ不得意なため、申請書などの様式を変更するいった方策で解決しています。
 なお、AI-OCRが読取りやすい様式に変更した結果、申請者にとっても書きやすい様式にもなり、様式を変更することが作業効率の向上につながるケースも見られるようになってきました。

生産性の向上を目指すRPA

 RPAとは、Robotic Process Automationの略で、従来、人間が行ってきた定型的なパソコン操作を「ソフトウェアのロボット」が自動化するというものです。
 具体的には、ルール化した操作手順に従い、忠実に処理を実行する技術により、ExcelなどのOfficeソフトやメールソフト、業務ソフトなどの複数のソフトウェアの操作を自動化します。これにより、人を補充することなく労働環境における生産性の大幅な向上を図ります。
 ただし、RPAにできるのはあくまでルール化された単純作業であり、審査や判断が伴う複雑な作業を自動化することはできません。
 この2つのソリューションを活用し、業務多忙となる中で人の手がかかる作業を縮減し、他の業務にかける時間を捻出します。SBS情報システムは、現状の業務フローを分析し、AI-OCRとRPAを活用した新しい業務フローの提案を行っています。

焼津市様での事例

 ソリューションを導入した焼津市様では、「特別徴収から普通徴収に切り替わった際の入力業務」にこの仕組を活用することで、従来の11.99%の時間で作業を終えました。実に88.01%の時間短縮です。
 こうした結果は、申請書内に手書きとゴム印といった複数の文字種が混在する状況でAI-OCRには直接文字を認識させず、職員様が宛名番号を検索し補記した数字を読取らせるといった運用上の工夫によるものです。これにより、高い文字認識率を安定的に確保し、読取り後のRPAへのデータ渡しがスムーズに行われ、結果的に高い効果を得ることができたと考えています。
 また、この比較テストとして、同じ作業を手作業により行っていただき時間計測をしましたが、作業中でも電話対応や窓口対応を止めるわけには行かず、テスト作業の手を止めて対応せざるを得ない姿が印象的でした。
 AI-OCRとRPAに単純作業を任せることで、作業中断による生産性の低下や入力ミスといったリスクの低減、職員様が審査や判断が必要なより高度な作業に専念できる環境の提供、といった効果が見込まれます。
 AI-OCR、RPAの導入後、実際にシステムを利用された職員様からも「他の作業に時間を使うことができる」といった声をいただいています。今後も、培ってきた業務知識を活かした手厚いサービスを引き続き提供しながら、新たなサービス方法として、より多くのお客様にお使いいただけるよう努めます。